「承諾」と「了承」は、ビジネスメールや日常会話でよく目にする言葉ですが、意味や使い方に微妙な違いがあります。
どちらも「受け入れる」「認める」といった意味を持ちますが、正しく使い分けることで、相手により良い印象を与えることができます。
今回はこの2つの言葉の違いと、ビジネスシーンでの適切な使い方を徹底解説します。
承諾と了承の基本的な意味と使い方
「承諾」と「了承」はどちらも「受け入れる」という意味ですが、ニュアンスや使われる場面に違いがあります。
正しく使い分けることで、よりスマートなコミュニケーションが可能となります。
「承諾」とは何か?
「承諾」とは、依頼や申し出に対して「それを受け入れて認める」ことを意味します。
「承」は「受け止める」、「諾」は「受け入れる」という意味を持ち、積極的に認めたり、正式に許可する場合によく使われます。
例えば、契約や申請、依頼に対して「承諾する」と返答する場合、その内容をしっかり理解した上で、正式に同意・許可したことを示します。
「承諾書」「承諾印」など、法的な意味合いや正式な手続きを伴うシーンで多用されます。
ビジネスの現場でも「ご承諾いただき、誠にありがとうございます」などと使われます。
「了承」とは何か?
「了承」とは、事情や内容を理解し、受け入れて認めることを意味します。
「了」は「終わる」「理解する」、「承」は「受け入れる」という意味で、主に説明や報告に対して認める・納得する場合に使われます。
相手の提案や報告内容に対し、「その事情を分かった」「問題ない」と受け入れるニュアンスです。
「了承しました」「ご承知おきください」などの表現と併用され、契約や許可ほどの重みはなく、比較的柔らかい受け入れ表現として使われます。
ビジネスメールでは「ご連絡いただき、了承いたしました」などとよく使われます。
両者の違いと使い分けのポイント
「承諾」は明確な許可や同意を示す時に使われるのに対し、「了承」は事情や内容を理解して受け入れる時に用いられます。
例えば、契約や申請、何かしらの「承認」が必要なシーンでは「承諾」が適切です。
一方、連絡事項や変更内容の「理解・受理」を示す場合は「了承」が適しています。
重みや責任の度合いが違うため、シーンに合わせて使い分けましょう。
言葉 | 意味 | 使われる場面 | 例文 |
---|---|---|---|
承諾 | 正式に許可・同意する | 契約・申請・依頼の受け入れ | ご依頼の件、承諾いたしました。 |
了承 | 事情を理解し認める | 説明や連絡内容の受理 | 日程変更の件、了承いたしました。 |
承諾と了承の具体的なビジネスシーン例
ビジネス現場では「承諾」と「了承」を正しく使い分けることが求められます。
ここでは、それぞれの具体的なシーンや例文を解説します。
承諾が使われる場面
例えば、取引先からの契約条件の変更依頼に対して正式に受け入れる場合や、申請書や契約書の署名、承認印が必要な場面などで「承諾」が使われます。
この言葉には、責任や法的効力が伴う場合が多いです。
「貴社のご提案を承諾いたします」「就職内定を承諾します」など、相手に対して明確な意思表示をする時に最適です。
また、「承諾書」は書類として相手に提出する際に使われます。
了承が使われる場面
「了承」は、会議の日時変更や納期の遅れなど、説明・報告に対して「理解しました」と応じる場面でよく使われます。
例えば、「打ち合わせ時間の変更、了承いたしました」「資料提出が遅れる件、了承しました」など、相手の事情を受け入れる柔らかいニュアンスです。
そこまで責任や重みが伴わない日常的な連絡事項で活用されます。
誤用しやすいケースと注意点
「承諾」と「了承」は似ているため混同されやすいですが、重みの違いに注意が必要です。
例えば、契約や法的な効力を持つ書面では「了承」ではなく「承諾」を使うのが正解です。
逆に、ちょっとした報告や連絡、日常的な確認事項で「承諾」を使うと、堅すぎて不自然に感じられることがあります。
状況や内容に応じて適切に使い分けることが、信頼されるビジネスパーソンへの第一歩です。
言葉の選び方で印象が変わる!上手な敬語のコツ
「承諾」「了承」の使い分けは、相手との信頼関係構築や円滑なコミュニケーションに直結します。
正しい敬語を選ぶことで、相手に配慮ができる丁寧な人という印象を持ってもらえるでしょう。
ちょっとした違いですが、その場にふさわしい言葉選びができることが、ビジネスではとても大切です。
困ったときは「この内容は正式な許可や同意が必要か?」「それとも理解・確認のみでよいのか?」という観点で判断しましょう。
その他の類似表現との違い
「承知」「ご確認」なども似た意味で使われますが、それぞれニュアンスが異なります。
「承知」は「知っている」「理解した」という意味が強く、目上の人に対しては「かしこまりました」がより丁寧です。
「ご確認」は、相手に「内容を確認してほしい」という依頼の言葉です。
シーンや相手との関係性、文脈に応じて使い分けると、文章力やビジネスマナーがグンとアップします。
言葉 | 主な意味 | 適したシーン |
---|---|---|
承諾 | 正式な同意・許可 | 契約、申請、重要な依頼 |
了承 | 事情を理解して受け入れる | 説明、連絡、報告内容の受理 |
承知 | 知る・理解する | 上司や目上の人への返事 |
ご確認 | 確認を依頼する | 相手にチェックをお願いする時 |
まとめ
「承諾」と「了承」は、どちらも「受け入れる」意味がありますが、使うシーンやニュアンスに大きな違いがあります。
契約や正式な許可・同意が必要な場面では「承諾」を、説明や報告などの内容を理解・認めるだけの場合は「了承」を使いましょう。
正しい使い分けができれば、ビジネスシーンでの信頼や評価もグッとアップします。
相手や状況に応じた言葉選びを心がけて、ワンランク上のコミュニケーションを目指しましょう。