お借りさせていただくの正しい意味と使い方・敬語の注意点ガイド

「お借りさせていただく」は、ビジネスシーンや日常会話でよく耳にする表現ですが、敬語として正しいのか疑問に思う方も多い表現です。
この記事では、お借りさせていただくの意味、使い方、敬語としての正誤、類語との違いなどについて、分かりやすく解説します。

「お借りします」と「お借りさせていただく」の違いや、ビジネスメールでの適切な表現を知りたい方にも役立つ内容となっています。

目次

お借りさせていただくの意味と使い方

このセクションでは、「お借りさせていただく」という言葉自体がどんな意味を持ち、どのような場面で使われるのかを詳しく解説します。
ビジネス敬語において正しく使えるかどうか、また間違った使い方についても触れていきます。

お借りさせていただくの意味とは?

「お借りさせていただく」とは、「借りる」という動作に、相手への敬意や感謝を込めて表現しようとした敬語の一種です。
「借りる」に「お」をつけて丁寧にし、「させていただく」で「自分の行為を相手の許可のもとで行う」という意味合いを持たせています。
つまり、「あなたのご厚意で借りることをさせていただきます」というニュアンスを含みます。

例えば、会議室や資料、道具などを一時的に使わせてもらう場合に、「この資料をお借りさせていただきます」といった形で使われます。
相手に対して丁寧に、感謝の気持ちも表したいときに使う方が多い表現です。

実際のビジネスシーンでの使い方

ビジネスメールや対面のやり取りで、「お借りさせていただく」と表現する場面は多く見受けられます。
例えば、「会議室をお借りさせていただきたいのですが」や「プロジェクターをお借りさせていただけますか?」など、相手の所有物やスペースを一時的に使用する際に使われることが多いです。
一見、非常に丁寧で配慮があるように感じるため、特に年上の方や取引先、お客様への依頼時によく用いられます。

しかし、丁寧すぎてやや過剰に感じられることもあり、「お借りします」や「お借りいたします」といったシンプルな敬語表現の方が適切な場合もあります。
使い分けには注意が必要です。

お借りさせていただくは正しい敬語?

実は「お借りさせていただく」は、二重敬語や過剰敬語として誤りとされる場合が多い表現です。
「借りる」に「お」をつけて丁寧語にし、「させていただく」で謙譲の意味を重ねていますが、「借りる」はそもそも自分が相手から譲り受ける動作であるため、そこに「させていただく」を重ねるのは不自然とされています。
正しい敬語としては、「お借りします」「お借りいたします」または、さらに丁寧に「お借りできれば幸いです」といった表現が望ましいです。

特にビジネスシーンでは、正確な敬語を使うことで相手に信頼感を与えられるため、「お借りさせていただく」は避ける方が賢明です。
誤用として指摘されることもあるため注意しましょう。

表現 敬語の種類 正しい/誤り 備考
お借りさせていただく 二重敬語・過剰敬語 誤りが多い 避けるのが無難
お借りします 丁寧語・謙譲語 正しい 一般的・無難
お借りいたします 丁寧語・謙譲語 正しい より謙虚な印象
お借りできれば幸いです 丁寧語 正しい 依頼・お願い向け

お借りさせていただくの類語・言い換え表現

ここでは「お借りさせていただく」の類語や、ビジネスメールでの適切な言い換え表現について紹介します。
敬語表現は多様ですが、使い方や場面によって最適なものを選ぶことが重要です。

「お借りします」と「お借りいたします」の違い

「お借りします」は最もよく使われる丁寧な表現です。
「お借りいたします」は、「いたす」を加えることでさらに謙譲の度合いが増し、よりへりくだった印象を与えることができます
どちらもビジネスシーンで広く通用する正しい敬語表現です。

例えば、社内外の相手に対して「会議室をお借りします」「プロジェクターをお借りいたします」といった使い方ができます。
「お借りいたします」は、より丁寧さを強調したい相手や状況で使うとよいでしょう。

メールで使える丁寧な言い換え例

ビジネスメールや文書で「お借りさせていただく」と書きそうになった場合は、以下のような表現に言い換えるのが適切です。
「お借りします」や「お借りいたします」はもちろん、「お貸しいただけますと幸いです」や「ご許可いただけましたら幸いです」など、相手の厚意や許可を強調する表現も有効です。

例えば、「部屋をお借りさせていただきたく、ご連絡いたしました」と書く代わりに、「部屋をお借りしたく、ご連絡いたしました」とすれば、よりシンプルで正しい敬語となります。

「お借りさせていただく」の使い方の注意点

「お借りさせていただく」を安易に使うと、ビジネス敬語を正しく理解していない印象を与えてしまう恐れがあります。
特に文書やメールなど記録に残る場面では、正しい敬語表現である「お借りします」や「お借りいたします」を選ぶことが大切です。

また、「お借りさせていただきます」と言った場合でも、相手が気にしないこともありますが、目上の方や取引先などフォーマルな場面では避けるのが無難です。
敬語表現を正しく使うことで、相手に対して敬意や配慮をしっかり伝えることができます。

お借りさせていただくと間違えやすい敬語表現

「お借りさせていただく」と同じく、ビジネスシーンで間違って使われがちな敬語表現についても触れておきましょう。
複雑な敬語の使い方は、正しく理解しておくことが信頼構築につながります。

「ご確認させていただく」「ご連絡させていただく」などの過剰敬語

「ご確認させていただく」「ご連絡させていただく」なども、二重敬語や過剰敬語として指摘されることが多い表現です。
本来は「確認いたします」「連絡いたします」が正しい使い方です。

「させていただく」は、自分の行動が相手の許可や配慮によって可能になっている場合にだけ使うのが正しい用法です。
なんでもかんでも「させていただく」をつけると、不自然な敬語になるので注意しましょう。

過剰な敬語が生まれる背景

近年は「させていただく」を多用する傾向が強まり、過剰な敬語が増えています。
これは、「丁寧に伝えたい」「失礼があってはいけない」という心理から生まれるケースが多いです。
しかし、過剰な敬語はかえって相手に違和感を与えたり、わざとらしい印象になってしまうこともあります。

正しい敬語や自然な言い回しを選ぶことで、誠実さや信頼感をしっかり伝えることができるので、言葉選びには十分注意しましょう。

間違えやすい敬語一覧とその正しい使い方

以下のような表現も、つい使ってしまいがちな誤った敬語です。
「ご案内させていただきます」「ご返信させていただきます」などは、「ご案内いたします」「ご返信いたします」が適切です。

敬語はシンプルかつ明確に伝えることが大切です。
不必要に複雑な表現を避け、自然で分かりやすい言葉を選びましょう。

誤用例 正しい敬語
ご確認させていただきます ご確認いたします
ご案内させていただきます ご案内いたします
ご返信させていただきます ご返信いたします

まとめ

「お借りさせていただく」は一見丁寧に聞こえますが、実は二重敬語・過剰敬語となるため、ビジネスシーンでは「お借りします」「お借りいたします」など正しい敬語を使うことが大切です。
敬語表現は相手への配慮や信頼構築の基本ですので、適切で自然な表現を心がけましょう。

「お借りさせていただく」以外にも、誤った敬語表現に注意し、正しい日本語を使うことで円滑なコミュニケーションと良好な関係構築が実現できます。
この記事を読んで、ビジネスでも日常生活でも活かせる敬語力を身につけていただければ幸いです。

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