失礼を承知の上での正しい意味と使い方|例文・敬語・言い換えまで徹底解説

ビジネスメールや会話でよく目にする「失礼を承知の上で」という表現。
この言葉は、相手への配慮を示しつつ自分の意見や要望を伝える際にとても便利です。
しかし、正しい使い方や意味を知らずに使うと、思わぬ誤解を招くこともあります。
今回は「失礼を承知の上で」というフレーズについて、意味や使い方、例文、敬語表現、似た言葉との違いなどを徹底解説します。

目次

「失礼を承知の上で」の意味と使い方

「失礼を承知の上で」は、相手に対して無礼や不躾な印象を与える可能性がある発言や依頼を敢えて行う際に、あらかじめ断りを入れるための表現です。
ビジネスシーンやフォーマルな場面、目上の人との会話でよく使われます。
以下では、その意味や使う場面、言い換え表現などを詳しく解説します。

「失礼を承知の上で」は、相手への敬意を表しつつ自分の考えや疑問を述べる際に用いられます。
特に、相手の発言や決定に対して異議を唱えたり、質問を投げかけたりする場合に、クッション言葉として先に添えることで、攻撃的な印象を和らげます。

「失礼を承知の上で」の正しい意味

このフレーズの意味は「これから申し上げることは失礼にあたるかもしれませんが、それでもあえて言わせていただきます」という内容です。
たとえば、上司や取引先など目上の人に対して疑問や要望を伝えたいとき、唐突に意見するのではなく「失礼を承知の上で申し上げますが」と前置きすることで、相手に配慮した態度を示します。
本来は相手に対して直接的な物言いや批判的な意見を述べる場面で使われることが多い表現です。

しかし、あまり頻繁に使いすぎると、逆に「本当に失礼なことを言うのだな」と思われてしまう危険もあるため、使い所には注意しましょう。
また、あくまで相手への敬意を込めて慎重に使うべきフレーズです。

ビジネスシーンでの適切な使い方

ビジネスの現場では、相手が目上の方や取引先、上司である場合に「失礼を承知の上で」という表現を使います。
例えば、商談や会議の場で相手の案に異論を挟みたいとき、単に「違うと思います」と言うのではなく、「失礼を承知の上で申し上げますが、こちらのご提案にはいくつか懸念点がございます。」というように前置きすることで、相手の気分を損ねずに自分の意見を伝えることができます。

また、メールでのやり取りでも同様です。
無礼を避けたい時や丁寧な印象を与えたい場合、「失礼を承知の上でお伺いしますが」や「失礼を承知の上でご質問させていただきます」などと記載することで、相手への配慮が伝わります。

「失礼を承知の上で」の例文とその解説

例文1:
失礼を承知の上で申し上げますが、この提案には改善の余地があるように思います。
この文は、相手の提案に対して直球で指摘をするのではなく、丁寧に配慮しながら自分の意見を述べています。

例文2:
失礼を承知の上でご質問させていただきますが、納期の再調整は可能でしょうか。
こちらは、相手の都合や立場を考慮しつつ、難しいお願いをしたい場合に使われます。

例文3:
失礼を承知の上で恐縮ですが、再度ご説明いただくことはできますか。
このように申し訳なさや恐縮の気持ちをさらに強調したい場合、「恐縮ですが」「申し訳ございませんが」と組み合わせると、より丁寧な印象を与えることができます。

表現 主な用途 印象
失礼を承知の上で申し上げますが 意見・指摘・質問 丁寧・配慮が感じられる
失礼を承知の上でお伺いしますが 質問・確認 謙虚・慎重
失礼を承知の上で恐縮ですが 依頼・お願い より丁寧・恐縮

「失礼を承知の上で」と似た表現や言い換え

この表現と似ている、あるいは言い換えが可能なフレーズもいくつか存在します。
それぞれのニュアンスや使い分けについても知っておくと、より自然でスマートなコミュニケーションが可能になります。

「お言葉を返すようで恐縮ですが」「差し出がましいようですが」「僭越ながら」といった表現も、同じく相手に配慮しつつ自分の意見を述べる場面で使われます。

「僭越ながら」との違いと使い分け

「僭越ながら」は、「自分の立場をわきまえずに発言することをお許しください」という意味合いで使われます。
「失礼を承知の上で」に比べ、さらに謙譲の度合いが強く、目上の方に意見や提案をする際に多く使われます。

例えば、「僭越ながら申し上げます」というときは、伝える内容がかなり目上の方への指摘や提案である場合に適切です。
一方、「失礼を承知の上で」は、そこまで大げさな場面でなくても使うことができるため、より広いシーンで活用できます。

「差し出がましいようですが」の使い方

「差し出がましいようですが」は、「自分が出過ぎた真似をしているかもしれませんが」といった意味を持ちます。
こちらも相手に対する配慮を示すクッション言葉であり、「失礼を承知の上で」とほぼ同じような場面で使えます

ただし、より控えめなニュアンスがあるため、親しい関係や柔らかい物言いが求められる場面に向いています。
「差し出がましいようですが、もう一度ご説明いただけますか」のように使うことで、相手に圧迫感を与えずに依頼や意見を伝えることができます。

「お言葉を返すようですが」の使い方と注意点

「お言葉を返すようですが」は、相手の意見に対して反論や異議を述べる際に使う表現です。
これは「あなたのおっしゃることに異を唱える形になりますが」という前置きなので、やや直接的で反論色が強いという特徴があります。

そのため、使う場面によっては角が立つこともあるため、柔らかい印象を心がけたいときは「失礼を承知の上で」を選ぶ方が無難です。
「お言葉を返すようですが、私の考えは異なります」のような使い方になります。

表現 主なニュアンス おすすめの場面
失礼を承知の上で 無礼をお許しください 幅広いビジネスシーン
僭越ながら 謙譲・控えめ 特に目上の人への意見
差し出がましいようですが 控えめ・柔らかい 親しい/柔らかい場面
お言葉を返すようですが 反論色が強い 異議・反論を述べるとき

「失礼を承知の上で」の正しい使い方と注意点

「失礼を承知の上で」というフレーズは便利ですが、使い方を間違えると相手に不快感を与えることもあります。
ここでは、正しい使い方や注意すべきポイントを詳しく解説します。

この表現はあくまで「相手に対して本来控えるべき発言や依頼を、配慮を込めて前置きする」ためのものです。
そのため、内容自体が極端に失礼であれば、どんなに丁寧に前置きしても相手には悪い印象を与えてしまいます。

敬語表現との併用がマナー

「失礼を承知の上で」は単独でも丁寧さを示しますが、さらに「申し上げますが」「お伺いしますが」「恐縮ですが」などの敬語表現と組み合わせることで、より一層丁寧な印象を与えることができます
ビジネスメールや社交的な場では、必ず敬語表現と併用するよう心がけましょう。

具体的には、「失礼を承知の上で申し上げますが」「失礼を承知の上でご質問させていただきます」といった使い方が適切です。

多用しすぎると逆効果になることも

「失礼を承知の上で」を頻繁に使うと、「また失礼なことを言おうとしている」と相手に思わせてしまうことがあります。
本当に配慮が必要な場面や、相手の立場を考慮してどうしても伝えなければならない時に限定して使うのがポイントです。

同じ気持ちを伝えたい場合でも、「恐れ入りますが」「お手数ですが」など別のクッション言葉と使い分けることで、よりバリエーション豊かな表現が可能になります。

内容に注意し、相手の反応をよく見る

「失礼を承知の上で」という前置きがあったとしても、内容が相手の立場や感情を大きく傷つけるものであれば、丁寧な印象は残りません。
伝える内容が本当に必要か、表現をやわらげられないかをよく考えましょう。

また、相手の表情や反応を見て、必要があればすぐにフォローや謝罪を入れるなど、細やかな気配りも大切です。

注意点 具体的な対策
多用しすぎない 本当に必要な場面でのみ使う
敬語と併用する 「申し上げますが」「恐縮ですが」などを合わせる
内容を十分に配慮する 表現をやわらげ、相手の反応を見る

まとめ|「失礼を承知の上で」を正しく使って、信頼されるビジネスパーソンに

「失礼を承知の上で」は、ビジネスシーンやフォーマルな場面で自分の意見や疑問を丁寧に伝えるための大切なクッション言葉です。
正しい意味と使い方を理解し、敬語表現と組み合わせたり、場に応じて似た表現と使い分けることで、より円滑なコミュニケーションが実現できます。

多用しすぎず、本当に配慮が必要な時にだけ使うこと、相手への気遣いを忘れないことが大切です。
「失礼を承知の上で」を上手に活用し、信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう。

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