「辞退させていただきたく存じます」は、ビジネスメールやフォーマルな場面でよく使われるフレーズです。
この言葉の意味や使い方、例文、似た表現との違いなどを詳しく解説します。
失礼にならない断り方やポイントを押さえて、安心して使えるようになりましょう。
辞退させていただきたく存じますとは
「辞退させていただきたく存じます」は、招待や依頼、申し出などを丁寧に断る際に使う敬語表現です。
この言葉は「辞退する」という動詞に、「~させていただく」「存じます」という二重の謙譲語を組み合わせて、相手を立てつつ自分の都合で断る意志を表しています。
ビジネスシーンでは、断ること自体が失礼にならないよう配慮が必要なため、このような丁寧な表現が重宝されます。
日常会話ではあまり使われませんが、ビジネスメールや公的なやり取りでは非常に高い頻度で見かけます。
しっかりと使い方や意味を理解して、相手に不快感を与えず断るマナーを身につけましょう。
言葉の意味と構造
「辞退」とは、誘いや申し出などを自分の意志で断ることを意味します。
「~させていただく」は、相手の許可を得て自分が動作を行うことを謙譲して表現する言い回しです。
「存じます」は、「思います」「考えます」をさらに敬語にした表現です。
これらを合わせることで、「恐れ入りますが、お誘いをお断りさせていただきたいと存じます」というニュアンスとなります。
相手に配慮しつつ、自分の意志を伝える最上級の断り表現のひとつです。
特に、目上の方や取引先、上司などに対して使うことで、礼儀正しい印象を与えることができます。
使えるシーンと使い方
「辞退させていただきたく存じます」は、主に以下のようなシーンで使われます。
・会議やイベントへの招待を丁寧に断る時
・仕事の依頼や役職の打診などを辞退する時
・贈り物やお祝い事のお返しを丁重に断る時
など、相手の厚意や申し出に対して断る必要がある場面で使用します。
例えば、「このたびのパーティーへのお誘い、誠にありがとうございます。しかしながら、所用により辞退させていただきたく存じます。」のように使います。
断る理由を明記し、感謝の気持ちも添えるとより丁寧な印象になります。
似た表現との違い
「辞退させていただきたく存じます」以外にも、「辞退いたします」「ご辞退申し上げます」「お断りさせていただきます」などの表現があります。
これらとの違いを知っておくことで、場面に応じて適切に使い分けることができます。
「辞退いたします」は比較的シンプルな敬語で、ややカジュアルな印象。
「ご辞退申し上げます」はさらにフォーマルで、手紙や公式な場面で使われることが多いです。
「お断りさせていただきます」は、より直接的な断りの意思を伝える表現です。
その中で「辞退させていただきたく存じます」は、最も丁重で、柔らかい断り方と言えます。
辞退させていただきたく存じますの正しい使い方
このフレーズを使う際は、ただ断るだけでなく、感謝や配慮の気持ちを伝えることが大切です。
また、理由を添えることで誠意が伝わりやすくなります。
ビジネスシーンやメール、書面での具体的な使い方や注意点を解説します。
ビジネスメールでの例文
ビジネスメールでは、冒頭に感謝の意を述べ、次に辞退の理由、最後にお詫びや今後の関係継続への希望を記載するのが一般的です。
例えば、
「このたびはお誘いいただき、誠にありがとうございます。あいにく所用があり、今回は辞退させていただきたく存じます」。
といった形がよく使われます。
さらに、
「ご期待に添えず大変心苦しい限りですが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」といった一文を添えると、より丁寧で印象が良くなります。
使う際の注意点
「辞退させていただきたく存じます」は非常に丁寧な表現ですが、断る理由を明確に伝えることが重要です。
単に「辞退させていただきたく存じます」とだけ伝えると、冷たく感じられることもあるため、できれば理由やお詫びの言葉を添えましょう。
また、同じ相手に何度も使うと「断り癖がある」と誤解される場合もありますので、頻繁に使いすぎないようにしましょう。
やむを得ない事情であることが伝わるよう、配慮ある言い回しを心がけましょう。
間違いやすい使い方
「辞退させていただきます」「辞退いたしたく存じます」など、言い回しが混同されやすいので注意が必要です。
「~させていただく」と「存じます」は、それぞれ謙譲語のため、二重敬語を避けるべきという意見もありますが、ビジネス敬語では慣用的に使われているため問題ありません。
ただし、過剰な敬語を避けたい場合や、よりシンプルに伝えたい場合は「辞退いたします」でも十分丁寧です。
相手や状況を見て使い分けることがポイントです。
辞退させていただきたく存じますの類語・別の言い回し
「辞退させていただきたく存じます」以外にも、丁寧に断るフレーズはたくさんあります。
場面や相手に合わせて使い分けることで、より柔軟な対応が可能になります。
ここでは、代表的な類語や別の言い回しについて詳しくご紹介します。
ご辞退申し上げます
「ご辞退申し上げます」は、より格式の高い場面や書面でよく使われる表現です。
「申し上げます」は謙譲語で、相手に敬意を表す際に用います。
例えば、
「誠に恐縮ではございますが、ご辞退申し上げます」。
というように使います。
特に、祝賀会や公式行事、規模の大きなイベントの招待を断る場合などに適した表現です。
お断りさせていただきます
「お断りさせていただきます」は、申し出や依頼を断る際の一般的な敬語表現です。
「辞退」に比べてやや直接的な印象となりますが、あまり堅苦しくなりすぎない場面では使いやすい表現です。
例えば、
「せっかくのお誘いですが、今回はお断りさせていただきます」
のように使います。
ビジネスシーンだけでなく、プライベートでも使用できます。
遠慮させていただきます
「遠慮させていただきます」は、控えめに断るニュアンスが強い表現です。
「辞退」に比べてやや柔らかく、プライベートやカジュアルな場面でも使いやすい特徴があります。
例えば、
「今回は遠慮させていただきます、またの機会によろしくお願いいたします」
のように使います。
相手に対する配慮が感じられる表現なので、関係性を損ねるリスクが少なくなります。
辞退させていただきたく存じますを使う際のポイント
この表現を適切に使うためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
ビジネスシーンで円滑な人間関係を築くためのコツを解説します。
理由や感謝の気持ちを必ず添える
「辞退させていただきたく存じます」のみでは冷たく感じられる場合があるため、必ず感謝や理由を明記しましょう。
「ご招待いただきありがとうございます。あいにく○○のため、今回は辞退させていただきたく存じます。」のように、感謝と理由をセットで伝えるのが鉄則です。
また、理由を曖昧にしたい場合でも、「やむを得ない事情」「以前より予定があり」など、相手に納得してもらえる配慮ある言葉を選びましょう。
今後の関係性を意識した文末表現
断る際でも、今後のお付き合いを大切にしたい気持ちを表すことで、相手に好印象を与えることができます。
「またの機会を楽しみにしております」「今後とも何卒よろしくお願い申し上げます」といった前向きな締めくくりを添えるとよいでしょう。
断ったからと言って関係が途絶えるわけではありませんので、今後の継続的な関係を意識した配慮が大切です。
宛先や状況に応じて表現を微調整する
上司や取引先、目上の方には「辞退させていただきたく存じます」のような丁重な表現が適していますが、関係性や状況によってはもう少しカジュアルな表現でも問題ありません。
相手やシーンを見極め、適切な敬語レベルを選びましょう。
また、メールや書面の場合は、冒頭の挨拶や締めの言葉まで丁寧に構成すると、より好印象を与えることができます。
まとめ
「辞退させていただきたく存じます」は、ビジネスやフォーマルな場面で使える最上級の断り表現です。
断る理由や感謝の気持ちを添え、今後の関係性にも配慮することで、礼儀正しく相手と良い関係を築くことができます。
場面ごとに適切な表現を使い分け、社会人としてのマナーを身につけましょう。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 意味 | 厚意や申し出を丁重に断る敬語表現 |
| 使う場面 | 招待・依頼・役職打診などの断り |
| 類語 | ご辞退申し上げます、お断りさせていただきます、遠慮させていただきます |
| 注意点 | 理由や感謝を必ず添える。頻繁な使用は避ける |
| 例文 | このたびはお誘いありがとうございます。あいにく所用により、辞退させていただきたく存じます |

