「向かわせていただきます」は、ビジネスシーンや日常会話でよく使われるフレーズです。
本記事では、その正しい意味や使い方、類語との違いや注意点について詳しく解説します。
「向かわせていただきます」を正しく使いこなして、ワンランク上のコミュニケーションを目指しましょう。
向かわせていただきますとは?
「向かわせていただきます」は、相手に敬意を表しつつ自分がこれから相手のもとへ行くことを丁寧に伝える表現です。
特にビジネスマナーとして、訪問や移動の意思を丁寧に表現したいときに使われます。
この表現は、謙譲語と丁寧語が組み合わさっており、シーンによってはワンランク上の印象を与えることができます。
ただし、同じ意味で「伺います」「参ります」などもよく使われるため、違いや使い分け方も知っておくと良いでしょう。
また、使い方を間違えると逆に不自然な印象を与えてしまうこともあるので注意が必要です。
「向かわせていただきます」の構造と意味
「向かう」という動詞に、謙譲語の「させていただく」が付いた形が「向かわせていただきます」です。
ここでの「させていただく」は、自分が何か行動を起こすことについて相手の許可や了承を得る気持ちを込めて使われます。
そのため、「これから(相手のいる場所や指定された場所へ)伺います」という意味合いになります。
この表現は、特に目上の方や取引先、顧客に対して自分が訪問する意思を丁寧に伝える場合に多用されます。
普段の会話よりも、フォーマルな場面で重宝される表現です。
ビジネスメールや電話での使い方
「向かわせていただきます」は、ビジネスメールや電話、対面でのやり取りで非常によく使います。
例えば、アポイントの確認や訪問の連絡をする際に
「本日は15時に御社へ向かわせていただきます」や
「ただいまよりそちらに向かわせていただきます」
といった使い方が一般的です。
また、予定変更や遅刻の連絡時にも「少し遅れますが、改めて向かわせていただきます」といった形で使えます。
相手に敬意を払う気持ちを表現できるため、取引先や目上の方に使うと好印象を与えられるでしょう。
「向かわせていただきます」と「伺います」「参ります」との違い
「向かわせていただきます」と似た表現に「伺います」や「参ります」があります。
これらはいずれも自分が相手のもとへ行くことを丁寧に伝える敬語ですが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「伺います」は謙譲語で、相手を立てつつ自分が訪問することを伝えます。
一方、「参ります」は「行く」の謙譲語であり、やや堅い印象があります。
「向かわせていただきます」はさらに丁寧で謙譲度が高く、許可や了承を得て行動するニュアンスが強くなります。
このため、よりフォーマルな場面や初対面の相手、重要な取引先などに使うのが適切です。
ビジネスシーンでの正しい使い方と注意点
ビジネスシーンでは、「向かわせていただきます」を正しく使うことで、相手に丁寧で誠実な印象を与えることができます。
ただし、使い過ぎや文脈によっては違和感を持たれることもあるため、注意が必要です。
適切なタイミングと場面
「向かわせていただきます」は、主に以下のようなシーンで使います。
・訪問アポイントの際
・予定変更や到着連絡
・上司や目上の方への報告
たとえば、「お時間になりましたので、今から向かわせていただきます」と使えば、ビジネスマナーを守りつつ相手に安心感を与えられます。
また、初対面の取引先や重要な商談時など、より丁寧に伝えたいときに最適です。
一方で、何度も同じ相手に繰り返し使うと、やや堅苦しく感じられる場合もあるため、状況に応じて「伺います」や「参ります」と使い分けると良いでしょう。
不自然な使い方や避けるべき表現
「向かわせていただきます」は丁寧な表現ですが、自分の意志で行動する内容に対して使うのが基本です。
たとえば「資料の確認を向かわせていただきます」といった使い方は不適切です。
また、社内の上司に対して頻繁に使うと、やや他人行儀な印象を与えてしまうこともあります。
「向かわせていただきます」は、あくまで訪問や移動の意思を伝える場面で使いましょう。
また、相手がフランクな雰囲気の場合は、無理に使わず「伺います」や「参ります」と柔軟に使い分けることも大切です。
メール・電話例文と応用表現
実際のビジネスメールや電話で使える例文を紹介します。
・「本日は大変お世話になります。予定通り14時に貴社へ向かわせていただきます」
・「打ち合わせのため、ただいまより御社に向かわせていただきます」
・「予定より少し遅れますが、改めて向かわせていただきます」
また、より丁寧に伝えたい場合は、「お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします」といった一文を添えると、より好印象です。
電話で使う場合も、最初に「お世話になっております」と挨拶し、その後で「今から向かわせていただきます」と伝えるとスムーズです。
類語や言い換え表現との違い
「向かわせていただきます」には、いくつかの類語や似た表現があります。
それぞれの違いや使い分け方を理解しておくと、より適切なコミュニケーションが可能です。
「伺います」との違いとシーンごとの使い分け
「伺います」は、「向かわせていただきます」と比べてややカジュアルで、日常的なビジネスシーンでよく使われます。
「明日13時に伺います」といった形で、自分が相手の元へ行くことを丁寧に伝えたい場合に使います。
特に、既に親しい取引先や何度も会っている相手には、「伺います」の方が自然に響く場合が多いです。
一方、「向かわせていただきます」は、よりフォーマルで謙譲度が高いため、初対面や重要な場面で使うのが適しています。
どちらも正しい敬語表現なので、相手やシーンに応じて使い分けましょう。
「参ります」「お邪魔します」との違い
「参ります」は、「行く」の謙譲語で、自分が目的地に向かうことを丁寧に伝えたいときに使います。
「伺います」よりもさらに堅いイメージがあり、目上の方や改まった場面で適しています。
一方、「お邪魔します」は、相手の家やオフィスなどに入る際に使うカジュアルな表現です。
「向かわせていただきます」は、これらの表現よりも許可や了承のニュアンスが強いため、相手に配慮したいときやより丁寧に伝えたい場合に適しています。
ビジネスでは、シーンや相手との関係性を考慮して、最適な表現を選ぶことが大切です。
「向かう」「行く」との違いと敬語表現のポイント
「向かう」「行く」は、どちらも自分がどこかへ移動することを表現する一般的な動詞です。
しかし、ビジネスシーンでは「向かわせていただきます」のように謙譲語や丁寧語を使うことで、相手に対する配慮や敬意を表現できます。
特に目上の方や取引先には、直接的な「行きます」ではなく「向かわせていただきます」「伺います」などの敬語表現を使うことで、より良い印象を与えることができます。
まとめ:向かわせていただきますを正しく使おう
「向かわせていただきます」は、ビジネスシーンやフォーマルな場面で自分が相手のもとに行く意思を丁寧に伝える表現です。
謙譲語と丁寧語が組み合わさっており、相手に敬意を示したいときに最適です。
「伺います」や「参ります」などの類語との違いや、正しい使い方・シーンごとの使い分けを押さえておくことで、より良いコミュニケーションが実現できます。
適切な敬語表現をマスターして、ビジネスでも信頼感を高めましょう。
| 表現 | 意味・ニュアンス | 適したシーン |
|---|---|---|
| 向かわせていただきます | 相手への許可・配慮を含め丁寧に訪問を伝える | 初対面、重要な場面、目上の方 |
| 伺います | 謙譲語で、自分が行くことを丁寧に伝える | 一般的なビジネス、親しい取引先 |
| 参ります | 「行く」の謙譲語、やや堅い | フォーマルな場面、目上の方 |
| お邪魔します | 相手の場所に入る際のカジュアルな表現 | 訪問時、親しい間柄 |

