「諸般の事情(しょはんのじじょう)」は、ビジネス文書や公式なお知らせ、案内状、報告書などでよく使われる日本語表現です。
「さまざまな事情」「いろいろな理由が重なった結果」という意味を持ち、理由や詳細を明かさず丁寧に説明したいときに使われます。
今回は「諸般の事情」の意味や使い方、ビジネスシーンでの言い換えや具体例を詳しく解説します。
「諸般の事情」とは?意味と基本の使い方
「諸般の事情」は、いくつかの様々な事情や理由、背景をまとめて表現する丁寧な言い回しです。
「諸般」は「多方面」「いろいろな」という意味、「事情」は「理由」「背景」「状況」を指します。
主に、具体的な詳細を説明しにくい、または説明を控えたい場合に
「諸般の事情により」「諸般の事情を鑑み」などの形で使われます。
主な使い方・例文
・「諸般の事情により、開催を延期いたします。」
・「本件につきましては諸般の事情を鑑み、中止とさせていただきます。」
・「諸般の事情により、担当者が変更となりました。」
・「諸般の事情から、納期が遅れる可能性がございます。」
このように、理由の詳細を伏せつつ、事情が重なった結果であることを丁寧に伝える時に使います。
ビジネスでの「諸般の事情」言い換え・類語表現
「諸般の事情」は便利ですが、同じ文中で繰り返すとやや形式的な印象になるため、
状況に応じて他の表現に言い換えるのもおすすめです。
主な言い換え例
・種々の事情により
・やむを得ない事情により
・様々な事情から
・諸事情により
・諸般の理由により
・社会情勢を鑑みて
・所定の都合により
これらもすべて「複数の背景・理由がある」というニュアンスを含んでいます。
文書でよく使われるパターン
・「諸般の事情に鑑み」
・「諸事情により」
・「各種事情を踏まえ」
・「やむを得ない理由により」
どれもビジネス文書や公式な連絡、社内通知、案内状でよく使われる表現です。
「諸般の事情」を使う際の注意点・コツ
・「諸般の事情」は便利な反面、具体的な説明を避けたい場面で使うため、受け手によっては「理由をはぐらかされた」と感じられることがあります。
できるだけ、「ご理解いただきますようお願い申し上げます」「ご迷惑をおかけし申し訳ございません」など
配慮や謝意も一緒に添えると好印象です。
また、重要な場面では、可能な範囲で補足説明や誠意ある対応も忘れずに。
例文での配慮ポイント
・「諸般の事情により、開催を見送らせていただきます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。」
・「本件は諸般の事情により中止となりました。皆様にはご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。」
このように、相手への謝意やお願いを添えるのが社会人マナーです。
まとめ
「諸般の事情」は、いくつかの理由・背景が重なったことを丁寧に伝える日本語であり、
ビジネスや公式な文書でとても重宝される表現です。
一方で、使いすぎや理由のごまかしと受け取られないよう、
適度な配慮と必要な説明・謝意を添えて使うのがポイントです。
言い換え表現 | 主な用途・ニュアンス |
---|---|
種々の事情により | やや改まった文書・案内で |
やむを得ない事情により | どうしても説明できない場合 |
諸事情により | 略式・カジュアルな通知に |
社会情勢を鑑みて | 外部環境や社会状況による場合 |
各種事情を踏まえ | いくつかの要素・背景がある時 |