罹患とは?意味や使い方・罹患率との違いをわかりやすく解説

「罹患」は医療や保健の分野でとてもよく使われる重要な言葉です。
この記事では、罹患の意味や正しい使い方、混同しやすい「罹患率」などの用語との違い、さらには日常生活やビジネスシーンでの活用方法についてもやさしく詳しくご紹介します。
罹患という言葉の正しい理解を深めて、健康に関する知識をより豊かにしましょう。

医療ニュースや診断書、健康診断の結果などで「罹患」という言葉を目にしたことはありませんか。
意味をなんとなく理解していても、正確な使い方や細かなニュアンスの違いまで知っている人は意外と少ないものです。

目次

罹患の意味と読み方

まずは「罹患」という言葉の基本的な意味と読み方について解説します。
「罹患」は医療現場だけでなく、健康や生活全般に関わる重要語です。

罹患の読み方と語源

「罹患」はりかんと読みます。
「罹」は「かかる」「患う」といった意味があり、「患」は「病気にかかる」「悩む」という意味です。
つまり、罹患は「病気にかかること」「特定の疾患に侵されること」を指します。
このように、罹患という言葉は日本語の中でも医療用語として使われることが多いですが、一般の会話や健康に関する情報の中でも頻繁に登場します。

医学的な文書やニュース記事、健康診断の結果説明などでも「罹患」という表現はよく使われます。
また、健康意識が高まっている現代社会では、正しくこの言葉を使いこなすことがより重要になっています。

罹患の正しい意味

罹患とは、人や動物が特定の病気や疾患にかかることを指します。
たとえば「インフルエンザに罹患する」「がんに罹患した」といった具合に、特定の疾患との関連で使われます。
また、疾患の発症が確認された場合などにも「罹患」が用いられます。

逆に、「健康を維持している」「病気にかかっていない」場合には「罹患していない」という表現が使われます。
このように、罹患は「病気にかかる/かからない」という二つの状態を分けて表現する言葉としても重宝されています。

罹患の使われ方と例文

罹患という言葉は、医療現場や行政、保健所からの案内、健康診断の結果説明などで幅広く使用されます
たとえば、「今年度はインフルエンザの罹患率が高い」「新型コロナウイルスに罹患した患者が増加している」などのような使い方です。
また、一般の会話でも「家族がインフルエンザに罹患した」などと使うことができます。

このように罹患は、「特定の病気にかかった」という意味合いを正確に伝えるための用語として大変便利です。
ビジネスシーンや医療関係の書類、またはニュース記事など、正式な場面でも安心して使うことができます。

罹患率・発症・感染症との違い

「罹患」とよく似た言葉に「罹患率」や「発症」「感染症」などがあります。
正しい意味の違いを理解して、誤用を防ぎましょう。

罹患率との違いと意味

「罹患率」とは、ある集団のうち、一定期間内に新たに特定の病気に罹患した人の割合を示す指標です。
「罹患」は個人が病気にかかることを指しますが、「罹患率」は集団全体における発生割合を表します。
たとえば「今年のインフルエンザ罹患率は全国で○%」というように使われ、地域や年齢層ごとに比較する際によく用いられます。

このように、罹患と罹患率は混同しやすいですが、罹患=個人の状態、罹患率=集団の割合という違いを覚えておきましょう。

発症との違い

「発症」は、病気の症状が現れることを意味します。
一方、罹患は症状の有無に関わらず「病気にかかった」ことを指します。
つまり、感染していても症状が出ていない場合は「罹患しているが発症していない」と表現することができます。
例えば、新型コロナウイルスの場合、無症状感染者は「罹患しているが発症していない」と説明されます。

発症と罹患は非常に近い意味を持ちますが、医学的にはこのような違いがあるので、正確に使い分けることが大切です。

感染症との違い

「感染症」は、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入することで起こる病気の総称です。
罹患は感染症だけでなく、がんや生活習慣病など、非感染性の病気にも使うことができます。
たとえば、「インフルエンザに罹患」「がんに罹患」といった使い方が可能です。
つまり、「感染症」は病気の種類を、「罹患」は病気にかかったという状態を表す言葉です。

このように、罹患は「病気にかかる」こと全般を指し、感染症はその中の一部ということを理解しておくと良いでしょう。

罹患の正しい使い方

罹患という言葉は、医療現場や健康に関する書類、さらにはビジネスシーンでも正しく使うことが求められます。
ここでは、罹患の正しい使い方と注意点をまとめます。

医療現場での使い方

医療現場では、診断書や検査結果の説明などで「罹患」という用語が頻繁に登場します。
たとえば、「患者はインフルエンザに罹患しています」「高血圧症に罹患した場合は定期的な通院が必要です」などの表現です。
この場合、「罹患」は病気にかかっている状態を客観的かつ正確に伝えるための表現として使われます。
また、同じ病棟や部門で複数人が同じ病気に罹患した場合には、「○○病棟でインフルエンザの罹患が確認されました」などと通知されることもあります。

このように、医療現場で罹患という言葉を使う際には、特定の疾患名とあわせて使うことがポイントとなります。

ビジネス文書や会議での使い方

ビジネスシーンでも、従業員の健康管理や感染症対策に関する案内などで罹患という表現を使うことが増えています。
たとえば、「○○社員がインフルエンザに罹患したため、出社を控えております」「◯月◯日よりインフルエンザ罹患者が増加していますのでご注意ください」などの表現が挙げられます。
このようなビジネス文書では、罹患した事実を冷静かつ正確に伝え、周囲に注意喚起や対策を促す目的で使用します。
また、社内報や会議資料などでも「罹患状況」「罹患者数」などの表記がよく使われます。

ビジネス文書で「罹患」を使う際は、病気にかかった人を責めたり、個人情報に配慮が必要な点を意識しましょう。

日常生活での使い方・注意点

日常会話では「病気にかかった」「風邪をひいた」という表現のほうが一般的ですが、健康や医療に関心が高い場面では「罹患」を使うこともあります。
たとえば、「家族がノロウイルスに罹患してしまった」や「今年は花粉症に罹患した人が多いようです」など、少し改まった言い回しとして用いられます。

注意点としては、「罹患」はやや専門的な印象があるため、相手や状況を選んで使うことが大切です。
特に高齢者や子ども、医療関係者以外の人と話すときは、分かりやすい表現と併用するのがおすすめです。

罹患に関するよくある疑問

罹患という言葉には、日常的に使ううえで疑問を持つことも多いものです。
ここでは、罹患にまつわるよくある質問や誤解について解説します。

「罹患」と「感染」の違いは?

「感染」はウイルスや菌などの病原体が体内に入ることを指します。
一方で、「罹患」は感染したうえで病気が発症した場合や、疾患として医学的に認められた状態を指す場合が多いです。
つまり、感染=病原体が体に入ること、罹患=病気にかかることという違いがあります。
「感染しても必ず罹患するとは限らない」という点を押さえておきましょう。

例えば、インフルエンザウイルスが体に入った人が必ずしもインフルエンザを発症するとは限りません。
この場合、感染はしているが罹患はしていない、というケースが考えられます。

動物や植物にも「罹患」は使える?

罹患という言葉は、人間だけでなく動物や植物にも使うことができます
たとえば「犬がジステンパーに罹患した」「果樹が病害に罹患した」などの表現が可能です。
医学や農業、獣医学などの分野では動植物の罹患状況を調査することも多く、専門家の間ではよく使われています。

日常生活ではあまり馴染みがないかもしれませんが、農業やペットの健康管理の話題では罹患という表現が自然です。

「罹患」と「患う」「かかる」との違い

「罹患」と「患う」「かかる」はいずれも病気に関連した言葉ですが、使い方やニュアンスに違いがあります。
「罹患」はやや硬い表現で、医学的・公式な場面で用いることが多いです。
「患う」は「病気を患う」という形で使い、罹患よりも広い意味合いを持つことがあります。
「かかる」は「風邪にかかる」など口語的で日常的な言葉です。

状況や相手に応じて、これらの言葉を適切に使い分けることが大切です。

罹患に関連するその他の用語

罹患に関連して知っておきたい用語をまとめました。
これらの用語も理解することで、健康に関する情報がより明確になります。

「有病率」との違い

「有病率」とは、ある集団において、特定の病気に現在かかっている人の割合を示します。
一方で「罹患率」は、一定期間内に新たに病気にかかった人の割合です。
有病率は慢性的な疾患や長期間にわたる病気の調査でよく使われます。
罹患率は、急性の疾患や流行性の感染症など、短期間で発生する病気の調査に向いています。

このように、有病率と罹患率には「時点」と「期間」の違いがありますので、使い分けに注意しましょう。

「死亡率」との関係

「死亡率」は、ある疾患や集団における死者の割合を示す用語です。
罹患率と並んで、病気の流行や重症度の評価に使われます。
たとえば、「がんの罹患率と死亡率を比較する」などのように用いられ、医療政策や健康指導の場面で重要な指標となっています。

罹患率が高くても死亡率が低い場合や、逆に死亡率が高い疾患など、疾病の特徴を知るうえで両者をセットで理解することが大切です。

「患者数」との違い

「患者数」は、ある時点や期間に病気にかかっている人の人数を表します。
罹患率や有病率は割合を示しますが、患者数は絶対数です。
たとえば「インフルエンザ患者数が昨年より増加した」といった使い方をします。

医療現場や行政の発表では、「罹患者数」「発症者数」などもあわせて使われることがあります。

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