ビジネスや日常会話でよく耳にする「多岐にわたる」。
この言葉の本当の意味や正しい使い方、さらには類語との違いまで、分かりやすく解説します。
「多岐にわたる」を正しく使いこなせると、あなたの表現力や伝達力も大きくアップしますよ!
多岐にわたるの意味や概要
「多岐にわたる」の基本的な意味や概要を押さえておきましょう。
この言葉はビジネス文書やメール、会議でも頻繁に使われています。
まずはその意味から詳しく見ていきましょう。
多岐にわたるの意味
「多岐にわたる」とは、物事や事柄がいくつもの方向や分野、種類に広がっているさまを表す表現です。
「多岐」とは「たくさんの分かれ道」という意味で、「わたる」は「及ぶ」「広がる」といったニュアンスを持ちます。
たとえば「業務内容は多岐にわたる」と言えば、「業務内容がとても幅広い」という意味になります。
単に「多い」とは異なり、「種類や分野が多様である」ことがポイントです。
ビジネス文書や公式な場面でもよく使われるため、知的でスマートな表現として重宝されます。
一方で、カジュアルすぎる場面や子ども同士の会話などではあまり使用されません。
多岐にわたるの語源と成り立ち
「多岐」は、文字通り「多くの岐(分かれ道)」という意味です。
「岐」は分岐点や分かれ道を指し、「多岐」は「たくさんの方向に分かれている」ことを表現しています。
「わたる」は「広がる」「及ぶ」といったイメージです。
これらが組み合わさることで、「様々な方面・分野に広がっている」というニュアンスになります。
このため、「多岐にわたる」は多様性や幅広さを強調したいときにピッタリな表現です。
ビジネスメールや報告書、論文などでもしばしば登場します。
「多岐にわたる」と「多方面にわたる」の違い
しばしば混同されがちな「多方面にわたる」ですが、どちらも「幅広い範囲に及ぶ」という意味で使われます。
しかし、「多岐にわたる」は「分野・種類」が複数に及ぶことを強調し、「多方面にわたる」は「方向・領域」が幅広いことを指します。
例えば、「活動内容が多岐にわたる」だと業種や分野の多さ、「影響が多方面にわたる」だと影響範囲の広さを表します。
用途やニュアンスの違いを覚えておくと、より的確に使い分けることができます。
どちらもフォーマルな場で使える表現ですが、「多岐にわたる」は内容のバリエーションを、「多方面にわたる」は影響範囲や対象の広がりと覚えるとよいでしょう。
多岐にわたるの使い方と例文
「多岐にわたる」をどうやって文章や会話で使えばよいのでしょうか。
ここでは、ビジネスシーンや日常での実践的な使い方を例文とともに紹介します。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスメールや会議、報告書などで「多岐にわたる」はよく用いられます。
たとえば、「御社の事業内容は多岐にわたっており、今後の展開に期待しております」のように、相手の幅広い事業展開を評価する際に使うことができます。
また、自社の実績やサービスに触れる場合も「当社のサービスは多岐にわたります」と表現すれば、バラエティ豊かな事業内容をアピールできます。
このほか、業務内容やプロジェクトの説明でも「担当業務が多岐にわたるため、適切な調整が必要です」といった使い方ができます。
フォーマルな響きがあるため、クライアントや上司への説明にもぴったりです。
日常会話やカジュアルな場での使い方
日常会話やカジュアルなやりとりでは「多岐にわたる」はやや堅苦しく感じられる場合もあります。
しかし、知的な印象を与えたいときや、会話の幅を持たせたいときには「彼の趣味は多岐にわたっている」などと使うと、表現が豊かになります。
ただし、親しい友人同士の会話では「いろいろな趣味がある」と言い換えることも多いでしょう。
場面に応じて適切に使い分けることが大切です。
「多岐にわたる」は、相手に知的・堅実な印象を与えたいときや、説明を丁寧にしたい場合に特におすすめの表現です。
多岐にわたるを使った例文集
以下は「多岐にわたる」を使った例文です。
ビジネスでも日常でも、さまざまな場面で応用できます。
- プロジェクトの課題は多岐にわたるため、各分野の専門家が必要です。
- 彼の知識は多岐にわたり、幅広い分野で活躍しています。
- 多岐にわたる理由から、計画を変更する必要が生じました。
- 当社のサービス内容は多岐にわたりますので、詳細は資料をご覧ください。
これらの例文を参考に、場面や目的に合わせて「多岐にわたる」を使いこなしましょう。
多岐にわたるの類語・言い換え表現
「多岐にわたる」と同じような意味を持つ言葉や、言い換え表現を知っておくと、文章にバリエーションが生まれます。
ここでは、代表的な類語やニュアンスの違いにも触れていきます。
多様・多種多様との違い
「多様」や「多種多様」も、「多くの種類や分野がある」という意味で使われますが、「多岐にわたる」は「方向性・分野の広がり」を強調する点が異なります。
「多様な才能」「多種多様な意見」などは、種類やバリエーションの多さそのものを指す場合が多いです。
一方で「多岐にわたる」は「分かれ道」という言葉のイメージ通り、「多方向に展開している」ことを強調します。
ビジネス文書での使い分けとしては、具体的な分野や方面の広がりを強調したい時は「多岐にわたる」、単に種類の多さを伝えたい時は「多様」や「多種多様」が適しています。
幅広い・多方面との違い
「幅広い」や「多方面」も「多岐にわたる」と似た意味で使われますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「幅広い」は「範囲が広い」「たくさんカバーしている」という意味で、具体的な分野や種類があるかどうかは問いません。
「多方面」は「いろいろな方向」「いくつもの方面」という意味で、「多岐にわたる」とより近い表現です。
違いを意識して言い換えることで、より適切で洗練された表現が可能になります。
その他の言い換え表現
「様々な」「あらゆる」「多くの」なども、状況に応じて「多岐にわたる」の代わりに使える場合があります。
ただし、これらの表現は「単に数が多い」「バリエーションが多い」だけで、「分野や方向性の広がり」までは強調しません。
そのため、「多岐にわたる」は「分野の多さ」「展開の幅広さ」を特に強調したいときに使うのが正解です。
多岐にわたるの注意点と正しい使い方
「多岐にわたる」は便利な表現ですが、使い方を誤ると意味が伝わりにくくなったり、不自然に聞こえることも。
ここでは、注意すべきポイントや間違いやすい例について解説します。
不適切な使い方・間違いやすい例
「多岐にわたる」は「方向や分野がたくさんに分かれる」場合に使うため、単純な数量の多さや単一の分野には用いません。
たとえば、「商品が多岐にわたる」は正しいですが、「人数が多岐にわたる」は不自然です。
人数や金額など、数値が単に多いだけの場合は「多数」「多くの」などの表現を使いましょう。
また、カジュアルすぎる場面ではやや堅苦しく感じられるため、TPO(時・場所・場合)に応じて使い分けが大切です。
ビジネス文書での正しい使い方
ビジネスシーンでは「多岐にわたる」はフォーマルで知的な印象を与える表現として重宝されます。
たとえば、「当社の取り組みは多岐にわたる分野に及んでおります」と記載することで、多様な活動内容を強調できます。
一方、具体性が必要な場面では「どのような分野に多岐にわたるのか」も明示すると、より伝わりやすく親切です。
「多岐にわたりご活躍されている◯◯様」など、人物の幅広い活動を褒める際にもよく用いられます。
「多岐にわたる」を使う際のポイント
「多岐にわたる」を使う時は、「何が」「どんな分野や方向に」広がっているのかを具体的に伝えるのがポイントです。
抽象的すぎると相手に伝わりにくくなるため、可能であれば「多岐にわたる分野」「多岐にわたる活動内容」など、後ろに具体的な言葉を添えるとより明確になります。
また、頻繁に使いすぎると文章が堅苦しくなりがちなので、他の言い換え表現ともバランスよく使い分けることが大切です。
まとめ:多岐にわたるの意味と正しい使い方
「多岐にわたる」は、物事や事柄がいくつもの方向や分野、種類に分かれて広がっている様子を表す表現です。
ビジネス文書やフォーマルな場でよく使われ、知的でスマートな印象を与えます。
類語や言い換え表現には「多様」「多種多様」「多方面」などがありますが、「多岐にわたる」は特に分野の多さや方向性の広がりを強調したい時に適しています。
正しく使い分けて、表現力をさらに高めましょう。
| 表現 | 主な意味・使い方 | 適した場面 |
|---|---|---|
| 多岐にわたる | 分野や方向性が幅広い、バリエーションが多い | ビジネス文書、報告書、知的な会話 |
| 多様 | 種類やバリエーションが多い | 一般的な説明、カジュアルな会話 |
| 多方面 | 方向や領域が広い | 影響範囲や活動範囲の説明 |
| 幅広い | 範囲が広い | 対象や活動範囲を説明 |

