申し上げにくいの正しい意味と例文・ビジネスでの使い方30選

「申し上げにくい」は、相手に伝えるのが難しい内容や、気まずい話を切り出すときによく使われる表現です。
今回はビジネスメールや電話、日常会話での使い方や、類語との違い、正しい使い方のコツなどを徹底解説します。

目次

申し上げにくいとは―意味をやさしく解説

「申し上げにくい」は、相手に伝えることが心苦しい・遠慮したいといった気持ちを表す、日本語の謙譲語表現です。
ビジネスメールや会話で、何かネガティブな内容や失礼にあたるかもしれない指摘をする際、前置きとして使うことで、相手への配慮や礼儀を示します。

「申し上げる」は「言う」の謙譲語、「にくい」は「難しい」という意味なので、直訳すると「言いにくい」という意味になります。
ですが、単なる「言いにくい」よりも、より丁寧で、相手を立てるニュアンスが強く表れます。

どんな場面で使う?

「申し上げにくい」は、ビジネスの現場ではもちろん、日常のやりとりでもよく登場します。
たとえば、お詫びや指摘、お願いごと、断りの連絡など、相手にとって耳の痛い内容を伝えるときに「申し上げにくいのですが」と前置きします。
これによって、相手に対して配慮を示し、コミュニケーションを円滑にすることができます。

また、社内外問わず、目上の方や取引先へ使うことで、礼儀正しさ・丁寧さをアピールできる重要なビジネスフレーズです。

「申し上げにくい」の使い方と例文

「申し上げにくい」は、主に文頭や話の切り出しとして使います。
代表的なフレーズは「申し上げにくいのですが」「申し上げにくいことですが」などです。

下記に具体的な例文を紹介します。
・申し上げにくいのですが、納期が遅れることとなりました。
・大変申し上げにくいのですが、再度ご確認いただけますでしょうか。
・申し上げにくいことですが、ご要望にはお応えできかねます。

正しい敬語としてのマナー

「申し上げにくい」はかなり丁寧な敬語表現ですが、敬語の重ね掛け(過剰敬語)には注意しましょう。
例えば「ご申し上げにくい」や「申し上げにくく存じます」などは日本語として不自然ですので避けましょう。

また、内容によっては「申し上げにくい」だけでは足りない場合もあります。
その際は「大変」「誠に」「心苦しい」などの語を添えることで、より気持ちが伝わります。

ビジネスシーンでの「申し上げにくい」活用法

ビジネスメールや電話応対、会議やプレゼンなど、あらゆるビジネスシーンで「申し上げにくい」は使われます。
ここでは、よくある具体的な使い方や注意点を解説します。

メールでの使い方

ビジネスメールで「申し上げにくい」を使う場合、冒頭の挨拶やお礼の後に続けて使うのが一般的です。
たとえば、「いつもお世話になっております。申し上げにくいのですが…」のように、相手への配慮を表します。

また、メールの場合は特に、冷たい印象にならないように、前後にクッション言葉やお詫び、感謝の気持ちを添えることがポイントです。

電話・会話での使い方

電話や直接の会話で「申し上げにくい」を使う場合、声のトーンや表情も大切になります。
柔らかく、落ち着いた口調で伝えることで、相手に不快感を与えず、気持ちが伝わりやすくなります。

また、電話の場合は相手の表情が見えないため、特に言葉選びや話し方に注意しましょう。
「申し上げにくいのですが、ご無理をお願いして申し訳ありません」といった形で、気遣いの言葉を添えるとより丁寧な印象になります。

断る・指摘する時のコツ

断りや指摘の際、「申し上げにくい」を使うことで、内容の厳しさや冷たさを和らげることができます。
例えば、「申し上げにくいのですが、今回はご期待に添いかねます」「申し上げにくいことですが、お手数ですが再度ご確認ください」などが挙げられます。

このとき、具体的な理由や背景を添えることで、さらに誠実な印象を与えることが可能です。
「申し上げにくいですが、社内規定により…」といったように、きちんと説明を加えましょう。

類語・似ている表現との違い

「申し上げにくい」には似た表現がいくつかありますが、微妙なニュアンスの違いを理解して使い分けることが重要です。
ここでは主な類語や、よくある誤用にも触れます。

「言いにくい」との違い

「言いにくい」は「申し上げにくい」よりもカジュアルな表現です。
友人同士や同僚など、あまり距離のない相手に使うのが一般的です。

一方、「申し上げにくい」は敬語表現のため、目上の方やビジネスシーンでの使用に適しています。
場面や相手によって使い分けましょう。

「心苦しい」の使い方

「心苦しい」は、「自分の心が痛む」「申し訳ない」といったニュアンスを強く持つ表現です。
「申し上げにくい」と組み合わせて「大変心苦しいのですが、申し上げにくいことをお伝えします」と使うことで、より丁寧さ・誠意を強調できます。

ただし、何度も繰り返し使うとくどくなるため、バランスよく使いましょう。

「恐縮ですが」「恐れ入りますが」との違い

「恐縮ですが」「恐れ入りますが」は、相手に依頼やお願いをするときのクッション言葉です。
「申し上げにくい」は、あくまで伝える内容自体が難しい・心苦しいときに使う点が異なります。

例えば、「恐れ入りますが、ご確認ください」と「申し上げにくいのですが、ご確認ください」では、後者の方が伝えにくい内容であることを強調しています。
目的やニュアンスの違いを意識して使い分けることが大切です。

「申し上げにくい」の正しい使い方・注意点

「申し上げにくい」を正しく使うことで、相手に対する配慮や丁寧さが伝わります。
ここでは、使う際のポイントや注意点を紹介します。

タイミング・前置きの重要性

「申し上げにくい」は、伝えにくい内容を切り出す前の「前置き」として使うのが基本です。
いきなり本題に入ると冷たい印象になりがちですが、「申し上げにくいのですが」とクッションを挟むことで、柔らかい印象になります。

また、話の流れや相手の状況をよく見て、タイミングを見計らうことも重要です。
相手の心の準備を促しつつ敬意を示すことができます。

過剰な多用に注意

「申し上げにくい」は便利な表現ですが、あまりにも頻繁に使いすぎると、逆にわざとらしく感じられたり、誠意が伝わりにくくなることがあります。
必要な場面で、適切なタイミングと頻度で使うことが大切です。

また、他のクッション言葉や謝罪表現とうまく組み合わせることで、より自然で誠実な印象を与えることができます。

内容に応じて表現を工夫する

「申し上げにくい」は万能な表現ですが、内容によっては「ご迷惑をおかけします」「ご不便をおかけします」など、より具体的な言葉を添えることで、伝えたい気持ちがより明確になります。
「申し上げにくいのですが、○○についてご協力いただけますでしょうか」といった具合に、内容や状況に応じて表現を工夫すると良いでしょう。

また、どうしても伝えにくい内容であれば、「大変申し上げにくいのですが」や「誠に申し上げにくいのですが」といった強調表現を加えるのも効果的です。

まとめ

「申し上げにくい」は、ビジネスシーンや日常会話で相手に配慮しながら伝えにくい内容を切り出す際に非常に便利な敬語表現です。
使い方やタイミング、類語との違い、注意点をしっかり押さえて、場面や相手に応じた適切なコミュニケーションを心がけましょう。
相手への思いやりが伝わることで、信頼関係の構築にもきっと役立ちます。

キーワード 申し上げにくい
意味 伝えにくい内容を丁寧に切り出す敬語表現
使い方 ビジネスメール・電話・会話での断りや指摘、お詫びなど
類語・関連語 言いにくい、心苦しい、恐縮ですが、恐れ入りますが
注意点 過剰敬語や多用に注意し、状況に応じて表現を工夫する

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